神戸家庭裁判所 昭和33年(家イ)271号 審判 1958年11月10日
国籍 中華民国 住所 神戸市
申立人 高美子(仮名)
国籍、住所 申立人に同じ
相手方 高清任(仮名)
主文
昭和二十六年九月○○日佐世保市長受附にかかる当事者間の婚姻はこれを取り消す。
理由
本件調停委員会において、当事者間に合意が成立し、且つ争のない事実は、当申立人は日本国籍を有していたが、佐世保市内において中華民国人である相手方と婚姻し昭和二十六年九月○○日その届出をしたところ相手方には民国三十年(昭和一六年)七月○○日中華民国台湾省において楊妙寿と結婚し既に戸籍登記に記録されており、従つて申立人と相手方との婚姻は重婚であるという事実である。
よつて必要な事実を調査したところ、申立人の戸籍謄本、中華民国駐大阪総領事館証明書(二通)、家庭裁判所調査官の報告書、当事者本人各審問の結果を綜合すれば上記事実を認めるに十分であつて、法例第一三条、第一四条によれば婚姻成立の要件は各当事者につきその本国法に依り、婚姻の効力は夫の本国法に依るべきところ、本件婚姻の夫たる相手方の本国法である中華民国民法第九八五条、第九九二条に依れば重婚は認められず、利害関係者においてその取消を請求することを認めているので、本件申立を正当として認容し、主文の通り審判した次第である。
(家事審判官 山下鉄雄)